6月9日、消費者庁は、回転ずし「スシロー」の運営会社「あきんどスシロー」(以降スシロー)に対し、景品表示法に違反する行為(おとり広告に該当)が認められたとして、再発防止を求める措置命令という行政処分を行った。スシローのあきれた集客行為の実態とは。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
おとり商品で集客し
別商品を売りつける手口
おとり広告とは「実際には買えないのに、買えるかのような広告をして顧客を呼び寄せること」である。チラシ広告などで「超特価品100点限り」と表示しているにもかかわらず、この商品を全く用意していない場合や表示した量より少ない量しか用意していない場合、消費者(顧客)が店を訪問したとき「まだ開店したばかりなのに売り切れ!」となる。
そこで店側は「大好評のため品切れになりましたので、他の商品をご用意いたしました」「あっちは売り切れたので、こっちを買ってください」と別の商品を売りつけるのだ。
スーパーなどの小売店(物販店)やスシローのような飲食店は、顧客が店舗に来てくれなければ商売ができない。逆に顧客が店にさえ来れば、何も買わずに帰る客もいるが、多くは何かを買ってくれる(食べてくれる)のだ。ウェブサイトでも同じだが、サイトに来てくれなければ商売が始まらない。そこで販売する側は、顧客誘引のためにいろいろな手段を使う。
今回、公正取引委員会(以降公取委)(※注)は、スシローの違反行為であるおとり広告について後述する2点を指摘している。
※景品表示法の所管は消費者庁だが、地方に出先機関がない消費者庁は、今回も公取委に調査を依頼している。スシローの違反記者会見も、関西の公取委が主催している。