株価・給料・再編 5年後の業界地図#2Photo:photolibrary

コロナ禍で最も打撃を受けた外食業界。その最悪期が過ぎ去ったのもつかの間、原材料高騰や人件費増によるコスト上昇で、“禁じ手”とすら目されていた値上げに踏み切る企業が後を絶たない。特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#2では、逆風吹き荒れる外食業界で、業界担当アナリストが今後勝ち残っていくと見込む優良企業を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

居酒屋とファストフードで格差拡大
“値上げラッシュ”を勝ち抜けるか?

「4月以降は時短協力金がなくなるので、売り上げが戻らない企業はさらに閉店が出る。余力のある企業は閉店跡地に出店しやすくなるので、優勝劣敗が鮮明になる」。みずほ証券の朝枝英也シニアアナリストは、外食業界でいよいよ二極化が加速すると警鐘を鳴らす。

 外食業界における新型コロナウイルス感染拡大の爪痕はすさまじい。業界団体統計によると、2021年の外食産業全体の売上高は、19年(コロナ禍前の年)と比較して2割弱も減少したまま。下図の通り、外食分野別でもほとんどの業態で、大幅な前年割れの状態が続いた。まん延防止等重点措置が解除された後の22年4月の業態別では、洋風ファストフードが19年比で約3割増加する一方、パブ・居酒屋は依然として半分以下。業界内での二極化の兆候は既に見られる。

 外食業界を襲うのは、コロナ禍だけではない。昨年9月以降に続いた、牛丼チェーン店の値上げに象徴されるように、円安による仕入れコスト増や原材料価格の高騰で、各社は値上げを余儀なくされている。クレディ・スイス証券の風早隆弘シニアアナリストも、「(外食業界は)良かった企業が悪くなったというより、以前から悪い状態にあった企業がなかなか回復していないのが実態だ」と、厳しい見通しだ。

 このような状況下でも、「日本の企業からグローバルブランドになっていくという点で非常に面白いと思っている」と風早氏が大きな期待を寄せる企業が存在する。

 朝枝氏もその企業について、「3年という時間軸で見ても成長する」と高く評価。同時に外食業界の今後を見る上で、ある指標が重要だと指摘する。

 次ページ以降では、2人の外食セクター担当アナリストが中長期的に成長する3銘柄の具体名と理由を挙げる。逆風吹き荒れる外食業界で、5年後の世界を制する勝ち組企業とは!?主要企業6社の予想成長率や気になる年収比較と併せて見てみよう。大手の中でも、くっきりと明暗が分かれた。

図表:外食・業界天気予報