米国株の2022年の騰落率がプラスになることはあり得るが、その確率は高くない。株価が今のところ年初の水準を下回っているため、そうした確率を調べても無駄な臆測に終わるだけだと思うかもしれない。S&P500種指数は今から年末までに21.5%上昇しなければ、年初来でプラスマイナスゼロの水準にすら戻れない(ダウ工業株30種平均は16.1%、ナスダック総合指数は34.7%の上昇が必要だ)。それでも、このような考察は無駄ではない。金融市場における蓋然(がいぜん)性とリスクとの間の複雑な相互作用を理解する上で役立つからだ。まずは、S&P500種指数が9月第2営業日までに今年と同じくらい下落した年について考えてみたい。そのような年は1928年以降に3回あった。いずれも9月初めから12月末までの上昇が不十分で、騰落率が通年でプラスに転じることはなかった。