インド株式市場が快進撃を続けている。債務コストの上昇とインフレの高止まりを背景に、リセッション(景気後退)懸念が世界を覆う中でも、他の新興国をアウトパフォームしている。MSCIインド指数はここ3カ月に8%余り値上がりする一方、MSCI新興国市場指数と米S&P500種指数は6%下落となった。外国の機関投資家のマネーも回帰している。ゴールドマン・サックスの分析によると、アジア市場には8月、外国勢が100億ドル(約1兆4300億円)相当の買いを入れており、月間で今年初の資金流入に転じた。これを主導しているのがインドへの買いで、70億ドル相当を占めた。懸念材料が山積しているにもかかわらず、外国勢のマネーが戻っているのは一見すると、奇妙に思えるかもしれない。インド統計・計画実施省が先週公表した4-6月期(第1四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比13.5%増と、伸びはここ1年で最も高い水準となった。それでも、インド準備銀行(中央銀行)の予想である16.2%には届かなかった。統計の発表を受けて、格付け会社や銀行の間では、インドの2022年成長予想を切り下げる動きが広がった。これとほぼ同時に、インドの通貨ルピーは対ドルで過去最安値に沈んだ。