ロシア軍が約3キロ先の拠点から集中砲火を浴びせるごう音がとどろく中、住宅街の外では住民を避難させるためのワゴン車が待機していた。マリア・ボロニツカヤさん(81)はアパートの4階で、急いで身支度をととのえ、荷造りをした。「2分ですからね!」。東部の町からの住民避難を支援する非営利団体ボストークSOSのボランティアのセルヒー・ロショクさんはこう叫んだ。「私たちが向かっていると1時間前に言いましたよね」これはウクライナ東部の前線でよく見られる光景だ。バフムートのようにロシアの標的にされている都市の住民は激しい攻撃にさらされており、収束する兆しは見えない。ボロニツカヤさんは服と書類を2つのポリ袋に詰め、どうにか階段を下りてワゴン車に向かった。ヘッドスカーフやハンカチなどを持って行けなかったことを悔やんだ。