ラリー・サマーズ元米財務長官をはじめとする著名なエコノミストらは、リセッション(景気後退)が近いと予想しており、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の調査によると、米国民の半数は既に景気後退入りしていると考えている。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、景気がインフレ鈍化をもたらす程度に減速するものの、失業率はそれほど上昇しない「ソフトランディング(軟着陸)」について言及するのをやめ、痛みを覚悟するよう警告し始めた。こうした悲観的な見解は正当化されるように思えた。筆者は3月、ソフトランディング実現の可能性は小さいとの見方を示した。しかし、その可能性はゼロではない上、2日に発表された8月の雇用統計で、就業者数の伸びが続く一方、賃金の伸びは鈍化し、労働力人口は増加したことが示されたのを受けて、その可能性は高まった可能性がある。ゴールドマン・サックスのエコノミストらは長い間、ソフトランディングの見通しを維持し、向こう12カ月間に景気後退に陥る確率を33%と予想している。これは通常より高いが、WSJが調査したエコノミスト予想の平均50%弱を下回っている。ゴールドマンがソフトランディングを見込んでいる理由を理解するため、チーフエコノミストのヤン・ハチウス氏に話を聞いた。
ゴールドマン「ソフトランディング予想」の根拠
失業率の大きな上昇なしにインフレ率が2.5%になると見込む
有料会員限定
あなたにおすすめ