投資家は今年、国債を大量に処分しているが、米大手企業が発行した社債の処分ペースはそれを上回る。こうした国債と社債の同時安は、リスクを分散して損失の最小化を目指す古典的な債券投資戦略に大打撃を与えている。今年はこの戦略が通用せず債券投資家が痛手を被ったこともあり、世界の債券市場は数十年ぶりに弱気相場入りした。投資家は国債と社債の両方を保有することが少なくない。一方が下落する時、もう一方はその影響を和らげることができる。それが機能することが多いのは、社債と国債の保有リスクが顕在化するタイミングが異なるためだ。債券相場が2021年初めにピークアウトして以降、社債と国債の保有リスクが一斉に投資家を襲っている。ブルームバーグ・グローバル総合トータルリターン指数は先週、直近高値から20%下落し、1990年の指数算出開始以降で初めて弱気相場入りした。直近高値を付けたのは2021年1月4日で、その後の20カ月で21%下落した。