もし、達成期限が2年程度と書いてあれば、実は「期限を定めない資産買入れ方式」は必要でない。安倍首相がいうように、手段の独立性が日銀にあるので、どんな手段を使おうと、期限まで目標を達成すればいいからだ。

今回のマネーの増加ペースでは
インフレ率2%達成に力不足

 もし達成期限が2年とだけ書いてあれば、市場のほうは勝手に達成手段を読む。以下は筆者の独自試算であるが、これまでのデータでは、マネタリーベースを増やせば、半年程度後に本格的に予想インフレ率が上がり出す。2001~2006年の量的緩和では10兆円増で0.3%程度、リーマンショック以降は10兆円増で0.15%程度、予想インフレ率が高まっている(拙著『日本経済のウソ』〈ちくま新書〉参照) 。

 今はその期待を為替と株価は先取りして動いているが、昨年11月16日の衆院解散時に0.7%程度であった予想インフレ率は、総選挙で自民党勝利後0.8%程度までにあがった。これを2%程度まで高めるためには、60~80兆円のマネタリーベースの増加が必要になる。ちなみに、ソロスチャートなどから、その場合円ドルレートは110~120円程度になるだろう。

 ところが、今回の「期限を定めない資産買入れ方式」では、マネタリーベースの増加は2年間でせいぜい40兆円程度であるので、とてもインフレ2%は達成しないように思える。まして、日銀が見込むインフレ率は2013年度0.4%、2014年度2.9%となっているが、その実効性が疑われるだろう。

 多少テクニカルであるが、以上の話は市場の一部にある今回の措置に対する失望感を示すものだ。

 もっとも今の日銀の執行部に金融緩和を期待することが無理なのだろう。なにしろ、2ヵ月前まではインフレ目標、金融緩和を全面否定していたのだから。