金融政策:
追加緩和よりも物価の扱いに関心
金融政策に関わる市場の焦点は、物価の位置付けに向かっている。日銀が今月21~22日の決定会合で、中長期的な物価の安定について検討する、としているからだ。
現時点で日銀は「中長期的な物価安定の目途」(英語ではgoal)を「2%以下のプラス、当面は1%」としている。しかし、自民党は「2%の物価目標(target)の導入」を政権公約で明示している。こうした中、日銀は何らかの物価目標を導入するだろうとの見方が定着している。
CPI:
実績を欠く安定的な2%上昇
他国は金融政策において物価をどう位置づけているだろうか。FRBは「目途」(goal)としているが、これは日銀と同じ。ECBは物価安定を定義(definition)している。イングランド銀行は目標(target)(図表1参照)。図表1には含めていないが、物価目標を導入している主要国としては、他にニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、スウェーデンなどがある。
内容を見ると、FRB、ECB、BoEは明確に「2%」という数値を示している。日銀も「2%以下のプラス」としているが「当面1%」という「ただし書き」が付いている。この点に、日銀の物価の取り扱いに異質性を見出すことができる。