ダイヤモンド・オンラインには、いろいろな意見が掲載される。今回は、2013年1月8日付け辻広雅文氏の「インフレ・ターゲティングは万能薬か 超金融緩和論の論点を整理する」を取り上げ、改めて金融政策への誤解を解こう。同氏の論考は興味深い点もあるが、その論点にそって、簡単に解答を書いておく。これまで何度も書いてきたので、詳細はリンク先を見てもらいたい。

主要論点への反論

論点1:「デフレ脱却」とは何を意味するのか

 デフレの定義は明確である。国際通貨基金(International Monetary Fund=IMF)や国際決済銀行(Bank for International Settlements=BIS)などの国際機関では、デフレを「持続的な一般物価下落」としている。具体的には、一般物価は一時的な撹乱によって下落することがあることから、一般物価水準が少なくとも2年以上、下落している時期をデフレと定義している。

 政府も、2001年3月の「月例経済報告」の中で、デフレを「持続的な物価下落」とした。4月スタートした小泉政権でもこの定義を踏襲し、経済財政諮問会議ではその定義にしたがった議論が行われている。

 今の段階になって、デフレの意味が不明確とは驚くばかりである。マスコミは、デフレについて明確に定義せずに議論することが多く、そのために混乱も多い。

論点2:金融緩和は不十分か

 まず、細かい点であるが、こうした比較の時に時点を都合よく取っている。2000年代を通して見ると、マネーが「ジャブジャブ」だったというのは根拠のない話だ。詳しくは、2012年02月09日「米FRBのインフレ目標導入で日本銀行大慌て」を見てもらいたい。

 なお、金融緩和しても実際に投資に結びつくのはタイムラグがある。これについては、2012年12月27日「一挙公開!「インフレ目標」批判へのFAQ 【その1】インフレ目標「無効論」を検証する」を見てもらいたい。