――筆者のアーサー・ハーマン氏は米ハドソン研究所上席研究員で「To Rule the Waves: How the British Navy Shaped the Modern World」の著者
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ジョン・F・ケネディ米大統領が「われわれは月へ行くことを選択する」と宣言してから60年がたつ。ケネディはライス大学で1962年9月12日に行った歴史的な演説で、米国はソ連との宇宙開発競争に全力を注ぐことを断言した。その7年後、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンの両宇宙飛行士が月面に着陸。人類史上最も重要な瞬間の一つとなった。
われわれは今、新たな宇宙開発競争に突入している。今度の相手は中国だ。しかも、われわれの経済と国家安全保障の双方が深刻なリスクにさらされている。
専門家は懸念している。米宇宙軍、米国防総省の国防イノベーション部門、米空軍研究所が6月に主催したカンファレンス「宇宙産業基盤の現状」に関する報告で明らかになったのは、2019年にカンファレンスが始まって以来初めて、業界や政府からの参加者350人が、米宇宙産業を悲観していたことだ。彼らは2032年までに中国が米国を抜いて支配的な宇宙大国になると予想していた。