高校卒業後、72万円だけ与えられ“社会に出て独り立ち”

 韓国の場合、児童養護施設入所者は高校を卒業すると同時に施設を退所する。そして、その際に自立支援として国から700万ウォン(日本円で約72万円)が支給される。しかしその支給額をもらっただけで、高校を出たばかりの未成年者が頼れる人もなく独り立ちをするというのは現実的には極めて困難なことは明らかだ。

 以前から、児童養護施設出身者からは「施設を出たとき、社会から見放されたような絶望的な気持ちになった」「支援金が支給されても、退所後の進路に具体的な手助けがあるわけでもなく、自立は非常に厳しい」という声は多くあった。また、彼らの多くが施設を出所しても両親や親族との接点がほとんどないといわれている。

 日本でも状況は似ていて、施設退所後に直面した問題として「孤独、孤立感」「金銭面」「行政手続きの問題」を挙げる人は多い。精神的にも、経済的、社会的にも、いくつもの問題にぶち当たっている人たちがいるのだ。

 韓国でも日本でも、片親家庭へはスポットが当たりやすい半面、こうした児童養護施設で育った子どもたちのその後について知られることは少ない。金銭的な援助は限度があるにせよ、彼らが社会に出たときに路頭に迷わない、社会生活を送る上での基礎知識の教育やサポートを広げていく必要があるだろう。