家族・親族の結束が強いはずが……孤独を募らせる人々

 この2つの事件では、状況は異なるがいずれも「社会的弱者」が絶望の中で亡くなっている。彼らの死は世間に大きな衝撃を与えた。それでなくとも、最近の韓国では高齢化や非婚化に伴い独居世帯が増加しているため、中高年者の孤独死も珍しいことではなく、遺族が葬儀や遺骨の引き取りを拒否する場合もあるという。そうした場合、韓国では自治体が主導して葬儀や遺骨の管理を行うようになっているが、こうしたケースは今後も増えていきそうだ。

 韓国社会は「親の存在」や「家族とのつながり」が強いのが当たり前というイメージがあり、高齢者世代ほど、「金銭、介護など、子どもがすべて親の面倒を見るのは当然」「親の言うことは絶対」という考えがいまだに根強い。しかし、今では子どもたちも生活に追われ、親の世話までできる余裕がない状態である。

「親族は助け合って当然」という韓国社会でも、経済面や健康面で問題を抱えている場合は親族から厄介払いのように敬遠されてしまうのが現状であるようだ。韓国同様、少子高齢化が進み、一人暮らし家庭が増えている日本も、こうした問題は決して対岸の火事ではないだろう。