ダイヤモンド決算報・夏#航空Photo:PIXTA

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はANAホールディングス、日本航空の「航空」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

ANAは7割増収
JALは売上高倍増

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の航空業界2社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期としている(2社とも22年4~6月期)。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ANAホールディングス
 増収率:76.2%(四半期の売上高3504億円)
・日本航空
 増収率:102.1%(四半期の売上収益2689億円)

 航空業界の主要2社は、ANAホールディングスが7割超、日本航空が2倍超の大幅増収となった。しかしながら今回の増収は、新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受け、大幅減収に陥った約2年前からの反動増の一環にすぎないといえる。

 そのため、航空2社は足元の業績が一見好調でも、コロナ前の水準と比べると「大減収」であることを従来の記事でたびたび指摘してきた。今回の四半期(22年4~6月期)は増収幅が極めて大きいが、それでもなおコロナ前比では「惨状」が続いているのだろうか。

 次ページでは航空2社の現在地について、時系列データを踏まえて詳しく解説する。