コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はNTT、ソフトバンク、KDDIの「通信」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
格安プランの「悪影響」を打破し
3社ともに四半期増収を継続
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の通信業界3社。対象期間は22年2~6月の四半期(3社いずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・NTT
増収率:6.1%(四半期の営業収益3兆689億円)
・ソフトバンク
増収率:0.4%(四半期の売上高1兆3620億円)
・KDDI
増収率:4.0%(四半期の売上高1兆3517億円)
通信業界の3社は、政府の携帯電話料金の値下げ要請を受け、昨年3月に相次いで格安の新料金プランを導入。従来の料金プランよりも通信料収入が減少することから、減収となるリスクが高まっていた。
しかし実際は、3社とも前年同期比で増収となった。しかも、NTTとKDDIは7四半期連続、ソフトバンクは11四半期連続での増収を記録するなど好調が続いている。
携帯料金の値下げがあったにもかかわらず、3社がその悪影響を打破し、増収を成し遂げられた要因は何なのか。次ページでは、データを交えて詳しく解説する。