「人の名前がすぐに出てこなくなった」「忘れ物が多くなった」「立ち上がった瞬間、何をしようとしていたのか忘れてしまうこともある」――40歳を過ぎる頃から、そんな“もの忘れ”を自覚することが多くなる。「えっ、もしかしたらアルツハイマー?」なんて不安が頭をよぎることも…。そんなアナタが参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳と体が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、いつまでも脳が衰えない手軽にして実践しやすい方法を紹介する。
(監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師)

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」Photo: Adobe Stock

「バランスボールを使った脳トレプログラム」

前回からの続き】 「バランスボールを使った脳トレプログラム」を5つのステップで紹介しましょう(※高齢者は転倒に注意し、万一転倒しても安全な場所で行ってください)。

ステップ1 ボールに座って夕食のメニューを思い出す

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」イラスト:堀江篤史

バランスボールに両脚を開いて座り、両手を太ももに置いたまま、昨日の夕食を思い出します。昨夜の夕食のことならほとんどの人は覚えていますが、前々日、その前の日とさかのぼっていくにつれて、記憶があやふやになります。そのあやふやな記憶を必死に思い出そうとすると、記憶を担っている大脳の部分(側頭葉)の血流が増えて活性化します。

ステップ2 ボールに座って計算問題を解く&相手と同じ動きをする

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」イラスト:堀江篤史

次はバランスボールに座ったまま、シンプルな引き算に挑戦します。100から7ずつ引いて93、86、79、72、65、58……と声に出して読み上げてみるのです。これで思考を担っている大脳の部分(前頭葉)の血流がアップして活性化します。講演会では、私の動きを見て、同じように動いてもらいます(これを「ミラーリング」と呼びます)。すると、視覚を担っている大脳の部分(後頭葉)の血流が増えて活性化します。

ステップ3 両脚を狭めてバランスをとる

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」イラスト:堀江篤史

続けているうちに徐々にバランス能力が高まってきたら、両脚を狭めて座ってみましょう。両脚を狭めるだけで支持面が狭くなるので、ボールの動きが不安定になり、難易度が高まります。最終的には両脚をぴったり閉じてみましょう。すると、随意筋にも小脳にも大脳にも、より多くの刺激が入るようになります。そうしてボールに座ったままで昨日の夕食で食べたものを思い出したり、100から7ずつカウントダウンしたりします。

ステップ4 片脚を浮かせてバランスをとる

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」イラスト:堀江篤史

両脚をぴったり閉じて姿勢が保てるようになったら、今度は片脚を少し床から浮かせてみましょう。これでボールの動きはいっそう不安定になり、脳トレ効果も高まります。そのとき、バランスをとるために両腕は左右に広げておきます。両腕を下げるほど重心が下がるのでバランスを保ちやすくなります。しばらく続けて慣れてきたら、両手を太ももに置いたままで姿勢を保つトレーニングをしてみてください。脳トレの内容はこれまでと同じです。

ステップ5 両眼を閉じてバランスをとる

【『世界一受けたい授業』で話題】「もの忘れ」が気になる人はやってみて!座るだけで脳が鍛えられる「5つのステップ」イラスト:堀江篤史

ステップ4が楽にできるようになったら、最終的には両目を閉じて同様に行います。ステップ4と同じように、始めは両腕を左右に広げて行い、慣れてきたら両手を太ももの上に置いたまま、バランスを保って座りながら大脳を使うトレーニングをしてみましょう。これができるようになったら、かなりの上級者です。認知症予防にも効果的です。

※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、体が若返るメソッドがたくさん掲載されています。