今回ばかりは、金融市場も米連邦準備制度理事会(FRB)の意図を極めて明確に理解した。つまり、インフレ率が高すぎる水準にあり、抑制するにはリセッション(景気後退)入りする必要がありそうだということだ。FRB当局者による経済・金利見通しと、ジェローム・パウエル議長の記者会見の内容を踏まえれば、そう解釈するしかない。金融市場では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が0.75ポイント引き上げられ、3~3.25%となることは織り込み済みだったが、向こう1年の金利見通しが4.6%まで切り上がることは想定外だったようだ。6月時点で示された金利のピーク予想である3.8%から大幅に切り上がった。FRB当局者による経済見通しの修正はそれほど驚きではないものの、厳しい現実を突きつけた。当局者は今週まで「完璧なディスインフレ」を見込んでいた。現在8%を超えるインフレ率が、実質的に失業率の悪化を招くことなく2%程度まで急低下するというシナリオだ。
景気後退の覚悟を、市場に届いたFRBのメッセージ
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