中国とロシアの「限界なき」友情にもかかわらず、習近平国家主席はウラジーミル・プーチン大統領に対して、多少なりともいらだっているように思える。その理由を探るには、エネルギーセクターに目を向けてみるといい。理論上の話だが、ロシアが石油・ガスの主要な買い手だった西側諸国から孤立を深めれば、長期的には中国にとって追い風になる。天然ガスについては特にそうだ。中ロは既存のガスパイプラインを拡張することで合意している。ところが、そこには問題が存在する。中国経済は今のところ、石炭・石油火力発電に大きく依存しており、ガス発電への移行は長く、コストのかかる道のりだ。プーチン氏がウクライナ侵攻を決めたことで、石炭・石油価格は世界的に高騰。しかも、不動産市場の冷え込みや個人消費の低迷によって、中国経済がすでに厳しい状況に置かれているタイミングにも重なっている。