ワイン用ブドウ園「リベル・パテル」に隣接する森林で、いつものように乾燥した夏のある日に山火事が発生した。ワイン生産者のロワ・パスケさんは、炎が上がり、自身が育てる貴重なブドウの木々に向かって広がるのを目にした。このブドウ園では、1本3万ドル(約435万円)もの値が付くボルドーワインを生産している。避難する数時間前、パスケさんとスタッフは、火が回らないようにブドウ園周辺の草地をつぶし、火の通り道をふさぐために溝を掘った。また、ブドウ園の池からくんだ水を周辺の木々に散布した。ブドウ園は救われた。こうした緊急措置は、世界最高級のワインの産地で、最も急激な部類の気温上昇に見舞われている生産者が、生き残りのために講じる対策のほんの一部にすぎない。多くの生産者は、ブドウが従来熟していた時期の数週間前に収穫を行っている。より涼しい気候の土地に投資している生産者もいる。ワイン産地自体の景観を変えるような動きもある。保水性を高め、豪雨後の土地の侵食や流出を減らすため、農園により多くの樹木を植えているのだ。
気候変動でワイン作り変更 仏ブドウ園の苦心
ボルドー地方では気温上昇に対応するため、ブドウの品種を変え、農園に多くの樹木を植えている
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