英国のリズ・トラス新首相が打ち出した拡張的な財政政策が、「国債自警団」の恐れを復活させている。だが、金融市場で起きた混乱は、多額の国債発行要件よりも、この計画の費用対効果が不明瞭であることが原因かもしれない。26日の海外市場で、英ポンドは対ドルで一時過去最安値まで下落し、その後値を戻した。投資家は先に、トラス新政権が光熱費凍結のために1500億ポンド(約23兆3300億円)以上を支出すると予想していた。だが、クワジ・クワーテング財務相は23日、1972年以来最も大規模な減税(英独立系シンクタンク財政研究所=IFS=試算)と、銀行員の賞与上限の撤廃など象徴的な措置とを合わせて行う方針を発表した。UBSのエコノミスト、アナ・ティタレバ氏の推計では、今後5年間の総コストは2910億ポンド、つまり国内総生産(GDP)の12.6%という巨額になる。
英成長戦略「トラスノミクス」 費用対効果が不明瞭
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