選挙前の世論調査は、今回だけは正しかった。25日に投開票されたイタリア上下院の総選挙では、右派連合が勝つと広く予想されていた。そしてそれはあっさりと実現した。ジョルジャ・メローニ氏(45)の政党「イタリアの同胞(FDI)」は26%の票を獲得。他の保守政党を合わせた得票率は44%に達し、同氏はイタリアの新議会で過半数を占める保守連合の紛れもないリーダーとなることが確定した。この勝利によって、メローニ氏は国際的な困惑と罵倒の対象になっている。同氏はかつての独裁者ベニート・ムッソリーニの「跡継ぎ」として、新しいファシズムの前触れであるかのように描かれてきた。しかし、イタリアの民主主義は多くの欠点があるにせよ、崩壊はしておらず、権威主義の危険もない。メローニ氏は政治家としてキャリアを積んでおり、行政機関による侵害から議会の特権を守るために発言してきた。メローニ氏の勝利は、少なくとも部分的には、新型コロナウイルス感染拡大への政府の対応に国民が反発したことに起因している。対応策の中には厳格なロックダウン(都市封鎖)も含まれていた。これは第2次世界大戦以降で国民が経験した最も権威主義的な政策だった。