米連邦準備制度理事会(FRB)は先頃、インフレ退治に向けて、この6カ月で3回目となる0.75ポイントの利上げを実施した。これを受け、投資家はリセッション(景気後退)への懸念を強めた。ジェローム・パウエルFRB議長をはじめとする連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらが、「ソフトランディング(軟着陸)」を目指す考えを繰り返し表明しているというのに、だ。ソフトランディングが意味するところはおおむね、経済成長を多少減速させるが景気後退は引き起こさずにインフレを抑える、というものである。FRBがソフトランディングを実現できるか疑わしいとの批判がある。多くのエコノミストは、FRBが過去60年間にソフトランディングに挑戦したのは11回で、そのうち成功したのは1994~95年の1回しかないと考えている。こうした批判的な向きは、FRBが過少な利上げによってインフレ抑制に失敗するか、過大な利上げによって景気後退を引き起こす、すなわち「ハードランディング(強行着陸)」するかのどちらかであることは、歴史が示しているという立場だ。