――筆者のジョン・ボルトン氏は「ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日」の著者。2005~06年に米国連大使、2018~19年に米大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めた。
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台湾はアジアで最も差し迫った火種かもしれないが、韓国が直面している脅威はそれに劣らず危険だ。北朝鮮が7回目の核実験を行うとのうわさが絶えない中、同国の核・弾道ミサイル計画は進展を続けている。これに対応する韓国の新たな戦略にとって特に重要なのは、インド太平洋地域全体に迫る脅威はそれぞれ別々で無関係というわけではなく、究極的には中国という1当事者から生じているという認識が高まっていることだ。
韓国では、北朝鮮が次の核実験を行うタイミングに関する観測は米中間選挙直前の数日間に集中している。中国共産党の第20回党大会は10月16日に開幕し、習近平国家主席が同国では毛沢東以来最も強力な指導者と正式に位置付けられるとみられる。北朝鮮の金正恩総書記が会期中に共産党大会を台無しにするようなことはないだろうが、その後の数週間は正恩氏が核能力を誇示する劇的な機会となろう。同氏が最近発表した先制核攻撃政策は、交渉によって核計画を放棄することはないとする、あからさまな警告とともに、北朝鮮の長年にわたる核ドクトリンを公に成文化するものだ。