ドル高に歯止めがかからない中、中国人民銀行(中央銀行)は元安の阻止ではなく抑制に取り組んでおり、ドル高を進行させる世界経済の強い流れに逆らうことの難しさを浮き彫りにしている。この戦略は、「元相場の管理」と「経済成長の支援」という厄介な政策上のトレードオフに中国当局が直面していることの表れでもある。元の対ドル相場は年初来で11%下落している。28日にはオフショア元が1ドル=7.2元台に突入し、10余年前にオフショア元市場が誕生して以来の安値を更新した。人民銀は、元相場を長年厳重に管理する中で磨き上げた多様な政策手段を駆使して元安に対応している。人民銀は8月以降、日々公表する元の基準値を、前日終値よりも元高水準に設定していた。9月には、市中銀行の外貨預金準備率を引き下げ、元売り取引にかかるコストを押し上げた。人民銀は28日に口先介入も行い、元売りを続ければ「敗北」することになると言明した。