防衛費増額の現実的な財源は?「GDP1%」で兵站が脆弱な自衛隊Photo:PIXTA

有識者会議で増額議論スタート
安全保障情勢は大きく変化

 防衛力の「抜本的強化」をめぐっての政府の有識者会議(「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」)の初会合が9月30日に開かれ、年末の国家安全保障戦略、防衛計画の大綱などの改訂や来年度予算編成に向けた防衛費増額の議論が始まった。

 総額議論の背景には日本を取り巻く安全保障情勢の変化がある。中国が海洋進出を積極化させる中、「台湾有事」となれば日本も与那国などの先島諸島が交戦領域に入り一方的に侵略されかねない。ロシアのウクライナ侵攻でその現実味が増すことになった。

 自民党内からはNATO諸国の国防予算の対GDP比(2%以上)目標を念頭に5年以内に倍増という声も上がっている。

 安全保障の現実を考えると、反撃能力の整備も必要だし従来の防衛費「GDP比1%枠」にこだわる意味はなくなっていると、筆者は考える。

 だが一方で、厳しい財政状況の下で防衛費増額をする場合の財源をどうするのか、こちらも現実的な課題だ。自分の国を自分で守るというのなら増税の痛みに耐える覚悟が必要だ。