就任1カ月足らずのリズ・トラス英首相は、自身が打ち出した英国版レーガノミクスという大胆な実験が手に負えなくなったことで、政治的権威を急速に失いつつある。トラス氏は英経済を高成長へと押し上げるために過去一世代で最大の減税案を公表したが、懐疑的な投資家と英国民、与党・保守党議員を説得するという3方面での戦いを強いられている。一部の党員は、次の総選挙まで最長2年が残った段階で既に、非公式ながら同氏をレームダック(死に体)のリーダーと呼んでいる。政府は経済対策の主要部分だった所得税の最高税率を45%から40%に引き下げる案を撤回したが、トラス氏はその翌日の4日、政府が提案した残る430億ポンド(約7兆円)規模の減税の財源をめぐり、自身の党のメンバーと新たな論争に直面した。
トラス英首相、市場の混乱で政治的反発に直面
サッチャー流の経済再生案に投資家や与党議員は懐疑的
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