ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は先月から始まった動員令の一環として、20万人が軍隊に加わったと明らかにした。だが、ウクライナ軍はロシア占領地で目覚ましい前進を遂げており、ロシアの兵力増強を上回るペースで反撃に出ている。すでにショイグ氏が先月発表した目標の約3分の2まで動員が進んでいることを示唆する今回の発言は、ウラジーミル・プーチン大統領も不満を示している招集プロセスへの批判を受けたものだ。とはいえ、消耗しきったロシア軍が大量の徴集兵をうまく吸収して対処できるのか、また効果的に投入できるのか、疑問がくすぶっている。西側の軍事専門家はロシアがジレンマに直面していると指摘する。ロシアは損失拡大を食い止めるため、訓練が不十分な新兵を戦場に送り出す可能性がある。しかも、士気の高いウクライナ兵を前に、戦況を好転させる効果はほとんど期待できない状況にもかかわらずだ。あるいは、来年まで待って十分に訓練、装備された兵士を送り込めば、戦場での流れを変えられるかもしれない。だが、それまでにはウクライナ軍が領土を相当奪還していることが想定される。