座り込みに高齢者が多い理由

 実際に座り込んでいる人々は、どういう人なのか?

 ネット上には、日当が出ているとか、極左暴力集団だとかテロリストといった言葉が並ぶ。しかし私が6年間取材した範疇(はんちゅう)では、ほとんどが一般市民だ。高齢者が多く、ときどき若い人が混じるという感覚だ。また私調べだが、沖縄県内からが8割、県外からが2割ほどだ。

ひろゆき氏を直撃「辺野古座り込み抗議」で議論、SNSに溢れる沖縄巡る誤解の数々撮影 大袈裟太郎

 座り込みの時間は平日昼なので、若者が来づらいのは当然だし、高齢者でも週1日だけとか、時間を作って参加するから毎日顔ぶれが違う。今は曜日担当でリーダーが代わるので、その曜日の雰囲気がいいとか、このリーダーを推しているとか、そういう理由でも人が集まる。

 ちなみに私のおすすめは水曜日だ。82歳のフェミニストである高里鈴代さんがリーダーの日で、ほのぼのと居心地が良く、休憩中は皆で持ち寄った料理を分け合いながら話を弾ませる。現在はコロナ禍で非接触とはいえ、座り込みは過酷だから、こうしてお互いで自己肯定感を高め合ってどうにか続けているのだろう。

 そして高齢者が多い理由は、やはり戦中・戦後の沖縄が置かれた悲惨な状況が影響している。

 沖縄戦で家族の大半を米兵に殺され、残った家族も日本兵に殺され、ひとり残されて生きてきたというおじいさまがいた。死んだ人々の血で赤く濁った水を飲んで生き延びたというおばあさまもいた。

 運動の象徴的な存在の山城博治さんも高校時代、同級生が米兵から悲惨な被害に遭うという強烈な体験をしている。

 今朝(6日朝)も私は母親を米兵に殺害された辺野古区のある男性から話を聞いた。しかし、そういった過酷な体験は簡単には他人には語られず、表に出ることは稀だ。私が6年取材してもつかめるのは、その被害実態のほんの一部だろう。

 そのような重たい背景を負いながら、彼ら彼女らは座り込みをする。こんな苦しみをこれからの世代の沖縄の人々に引き継がせたくない。そういう思いがここに座る人々の原動力なのだ。