米連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げのペースが遅すぎると初めは批判されていたが、今では利上げのペースが速すぎると一部から非難されている。当然ながら、FRBはその意見に同意していない。しかし、それが正しいかどうかを判断するのは困難だ。FRBは一貫した公式に従っていないためだ。理論上は、中央銀行の金利の動きは、その目標や経済・金融データと何らかの体系的な形で関連しているはずだ。こうした相関性を、経済学者や市場参加者は政策ルールや反応関数と呼んでいる。これは、投資家がFRBの政策措置を理解し予想するのに役立ち、その効果を高める。世界は複雑であり、たった一つのルールや反応関数に縛られていたFRB議長はいない。ジェローム・パウエル議長は特にそうだ。2020年から21年後半までは、金融政策を非常にゆっくりと引き締めようとしていたが、今年3月以降は高インフレを退治するため猛スピードで利上げをしている。これは市場を困惑させ、FRBが最終的に行き過ぎた利上げをするリスクを高めている。