目下、銀行は金利上昇の恩恵を受けて収入が増加している。だが、迫り来る厳しい状況に備えて銀行が十分な自己資本を積み上げてきたかどうかを、投資家はこれから目の当たりにすることになる。米金融大手JPモルガン・チェースが14日発表した7-9月期(第3四半期)決算は、金利上昇と融資残高の増加を追い風に、純金利収入が前年同期から3割ほど増加した。今年に入ってからの米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを追い風に、JPモルガンは2022年通期の純金利収入見通し(変動の激しい市場部門を除く)を従来の580億ドル(約8兆6200億円)から約615億ドルに引き上げた。銀行は現在、債券価格の下落や規制要件の強化で自己資本比率が圧迫されるなどの課題にさらされている。だが当面は、金利上昇を追い風とする収入増加でこうした問題を乗り越えることができる。同時に、金融業界における手数料収入の減少や、融資の焦げ付きに備えるための貸倒引当金の積み増しも迫られている。収入増加がもたらした自己資本の拡充が寄与し、JPモルガンの中核的自己資本比率である普通株式等ティア1(CET1)比率は4-6月期の12.2%から7-9月期は12.5%に上昇した。だが同行は、自己資本比率要件の引き上げに対応するとともに、23年1-3月期に13%という自己目標を達成するため、今後も貸倒引当金の積み増しを継続していく必要がある。