ニューヨークで開かれた就職説明会に集まる求職者たちニューヨークで開かれた就職説明会に集まる求職者たち Photo:Spencer Platt/gettyimages

米国で強まる雇用「代替」の動き
企業の15%が活用、広がる業務再編

 米国では、人工知能(AI)の社会実装が加速し、2022年11月のChatGPT公開を契機に、生成AIは試験導入の段階を超え、多くの企業で実装フェーズに移行している。

 業務プロセスの見直しも進んでおり、米国政府の調査ではAIをビジネスに活用していると回答した企業は全体の15%に達している。今後もこの比率は一段と高まる見通しだ。

 注目すべきは、AI導入が単なる業務の「補完」にとどまらず、職種によっては働き手の「代替」を織り込んだ業務設計に傾きつつあることだ。

 AIが収益拡大や生産性向上への期待を高める一方で、雇用が置き換えられるのではないかとの懸念を強めている。

 実際、オープンAIのアルトマンCEOは「現在の業務の40%以上がAIに代替され得る」と述べるなど、ホワイトカラー業務の自動化を予期する見方が経営者の間で広がっている。すでに若年層を中心に、就業者数が減少に転じた職域がみられる。

 こうした雇用代替の流れは、労働者・消費者の権利保護を重視するバイデン前政権の政策から、規制緩和やAIの積極活用を進めるトランプ政権の政策へと転換したことが助長している面もある。

 AI導入による生産性の上昇などで、米国では今後5年間の経済成長率が年率で0.6%押し上げられる計算だが、一方で最大320万人の就業が失われる可能性がある。

 人手不足の日本にとっても、AI導入は避けられないが、その活用が労働力の代替に進み、「雇用なき成長」に陥る事態には注意が必要だ。