金相場は今年序盤に急伸した後は、輝きを失っている。その光沢を取り戻すには、独歩高状態のドルという強敵に打ち勝つ必要がある。だがエコノミストや企業幹部らは経済について依然として矛盾したメッセージを発している。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制にしかと照準を定めており、金投資家の待ちは長期化しそうだ。金価格は通常なら地政学的リスクの増大や物価高に押し上げられるが、今年は大きく下落している。米国外の景気低迷とFRBの大幅利上げ観測が容赦のないドル高につながり、そのほか一切の材料を跳ね飛ばした。調査会社ファクトセットによると、金先物価格(期近物)は、ロシアのウクライナ侵攻開始を受けて史上最高値に迫った3月の水準に比べて19%下落している。