米ドルと日本円の紙幣のイメージ画像Photo:PIXTA

「1ドル=150円時代」と言って差し支えない為替水準に突入した。それでも、政府による円買いの為替介入はやめておく方が利口だと筆者は考える。その理由をお伝えするとともに、1ドル=150円時代の在るべき投資や働き方、消費、ビジネスなどについて考えてみたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

1ドル=150円の為替市場に
「介入」すべきか

 日本円の対米ドルの為替レートが、先週木曜日の10月20日に、ついに1ドル=150円をつけた。その後、海外市場で政府は介入の有無を明かさずに市場に介入する「覆面介入」を行ったらしい。数円の円高となって、その後、週が明けてからも140円台後半で推移している。

 覆面にせよ、大っぴらなものにせよ、政府・日本銀行による円買い介入は(決めて指図するのは財務省、市場で実行するのは日銀という役割分担だ)、やめておく方が利口だと筆者は考えている。

 政府・日銀は円安が145円を超えた時に一度円買い介入を行っている。そのため、「前回の介入は無駄だったのか」「150円ならもっと介入が必要なのではないか」等々、メディアも市場関係者も政府に介入をやらせたがる。

 しかし、そこには思惑がある。一つには彼らが話題を求めているためであり、もう一つには為替市場でもうけの機会を作りたいと思っている市場参加者による「けしかけ」だろう。政府としては相手にしない方が賢い。