写真:安倍晋三元首相インタビューに応じる安倍晋三元首相(2022年3月撮影) Photo by Yoko Akiyoshi

安倍晋三元首相の国葬の前後では、国葬の是非を巡る論争と旧統一教会問題の再燃で紛糾するだろう。そこでこのタイミングであらためて、アベノミクスの総括をしたい。筆者の結論は、「正しい政策だったが、現実に成功したとは言えず、そもそも不足のある政策パッケージだった」ということになる。その論拠をお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

「国葬」の前に論じておきたい
アベノミクスの総括

 9月27日、来週の火曜日に故・安倍晋三元首相の国葬が行われる。政府は「国葬」ではなく「国葬儀」だと言い直すかもしれないが、どうでもいいことだ。

 率直に言って、安倍氏の国葬に対する国民の反対がかくも強いことは、筆者の想像の外だった。確かに、国葬の決定プロセスには問題があった。不賛成の論理は理解できる。しかし、既に日程が決まった葬儀である。

 相手が仮に敵のような存在であっても、葬儀には参列して故人を悼むのが旧来の「人の道」だった。政治的な意見を表現するために、野党の政治家の多くが元首相の葬儀を欠席しなければならないのだとは、彼らの立場を理解するとしても、何とも窮屈でケチな世の中になったものだと思う。

 さて、来週になると世論を二分する国葬を巡って世間は騒然とするだろう。

 また、葬儀が終わると、「葬儀前」を理由に報道が自制されていた旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と安倍氏の関係についての報道で溢れかえるに違いない。安倍氏は現在世間の耳目を集めている旧統一教会との関係がとりわけ深く、また同教団にとっても存在感が大きな政治家だったのだから当然だ。