10月16日から開催された中国共産党第20回全国代表大会(以下、党大会)を経て、習近平政権は3期目となる5年間の任期に突入した。これで、台湾統一に向けた体制が強まりそうだ。台湾独立をめぐり米国との対決が回避できなくなった場合を視野に入れ、中国では戦時体制の構築をさらに一歩前進させる。中国の市民生活にも影響が出そうだ。(ジャーナリスト 姫田小夏)

毛沢東を超越するための「台湾統一」

中国でのコンビニ急増が「恐るべきシナリオ」の布石かもしれない理由中国のコロナ禍で、住民にとって身近なコンビニの存在が急浮上(著者撮影)

 軍事力と経済力を強化し、中華民族を復興させるという習近平氏の「中国の夢」――。その野心的なスローガンはすでに日本でも知られているが、習近平体制が発足した2012年から、同氏はその布石を着々と打ち続けてきた。

 19~20世紀初頭にかけて西側諸国による領土分割を経験した中国が、その復讐(ふくしゅう)の爪を研ぎながら超大国を目指す変貌ぶりに、米国を筆頭に西側諸国が対抗してきたのが近年の動きだ。

 習氏の3期目は、自らを神格化するためのクライマックスの5年間となる。今年8月、中国は「台湾統一白書」を更新したが、台湾独立の動きに対して「武力行使の放棄は約束するものではない」とする表現に外国メディアはざわついた。

 正念場を迎えるのは2024年だ。台湾の総統選(1月)と米国の大統領選(11月)で「台湾独立」を支持する指導者が選ばれれば、中国のレッドラインを侵すシナリオは必至となり、事態はさらにエスカレートするだろう。

 実際、中国は「Xデー」に向けて、着々と備えている。上海のロックダウンやコンビニの店舗数を増やす計画も、懐疑的に見ると、先々を見通した計算のうち……かもしれないのだ。