日本の若者の間で「中国発」漫画・ゲームの人気が上昇中、次世代の中国観とはベルギー漫画センターで売られていた日本流の漫画の描き方の指南本(筆者撮影)

近年、日本では、中国発のコミックやゲームのファンが増えている。海外における日本アニメの人気は周知のとおりで、それぞれのコンテンツが、国と国の政治や社会問題を乗り越えていく“国境破壊力”はとどまるところを知らない。日中国交正常化50周年を迎えた今年、「日中友好」の言葉の意義が問われているが、若い世代はこの四文字にとらわれず“自分なりの中国観”を掘り下げている。(ジャーナリスト 姫田小夏)

アニメが持つ異国での浸透力

 日本の漫画『NARUTO-ナルト-』には、日本のラーメン文化や、「九尾の狐」の昔話、ヘビ・カエル・ナメクジの三すくみや呪文に使う“手印”の結び方など、日本の“エキゾチズム”(異国の文物に憧れを抱く心境)が凝縮されている。

 筆者は9月末、ベルギーの首都ブリュッセルのベルギー漫画センターで開催されていた『NARUTO-ナルト-』の特別展示を訪れた。平日午前にもかかわらず、子ども連れのファミリーや、孫と一緒に訪館する祖父母の姿が散見された。小学生の男の子が、おばあちゃんにNARUTOの良さを懸命に説明しているのが印象的だった。

 ミュージアムショップで売られていた書籍を手に取ると、主人公の好物であるラーメンの紹介や、物語のキーワードとなる漢字の書き方が紹介されていた。さらに日本流の漫画の描き方を伝授する書籍もあった。日本のサブカルチャーが、ベルギーの若い世代に自然な形で浸透しているのがわかった。

 実は、同じようなことが日本でも起こっている。中国のサブカルチャーが若い世代に評価され始めているのだ。