8月10日、中国の国務院台湾事務弁公室が台湾統一に関わる「白書」を発表した。正式名称を「台湾問題と新時代の中国統一事業」というこの白書は、台湾の独立勢力と米国内の反中国勢力に対して強い牽制を示すものだ。1993年と2000年にも発表されたが、それらと比較しながら中国の態度の変化を考察し、台湾の人々の将来を考えてみたい。(ジャーナリスト 姫田小夏)
「武力行使の放棄は約束するものではない」
8月3日のペロシ米下院議長の台湾訪問は、禁断の「パンドラの箱」を開けた。
その対抗措置として、人民解放軍は即座に演習を開始、他の船舶や航空機を排除し、台湾を半ば封鎖状態に追い込んだ。ペロシ氏の訪台は、少なくとも「中国による統一」を早めるための口実を与えることになったといえるだろう。「台湾は中国の手中にある」とアピールするかのような動きは、「統一」が間近に迫るかのような暗示となった。
中国人民解放軍が行った軍事演習は今月4~9日に行われ、「白書」は演習終了直後の10日に公開された。
この「白書」は「台湾の独立勢力や外部勢力が挑発し、強要し、さらには超えてはならない一線(原文は紅線)を突破した場合は、措置を講じる必要がある」と強く牽制している。その内容を見ていこう。