「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が話題を集めている。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「トークで相手を引き込むコツ」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。今回は、その芝山氏にコミュ力を高めるコツを聞いてみた。
自分のせいで変な空気になりかけたら
今回は、怒られたり、失敗したり、スベッたときに「変な空気」にしない方法を紹介します。拙著『おもろい話し方』でもスベッたときの対処法を紹介しましたが、今回は本書に載せきれなかったお話です。
皆さんも次のケースのように、変な空気になりそうで困ったことがないでしょうか。
【ケース① みんなの前で怒られたとき】
上司「今日遅刻したやろ! 後で会議室こい!」
あなた「……はい、わかりました」
(上司どこかへ行く)
同僚「大丈夫?」
【ケース② スベッたとき】
友達「このお菓子、なんか味おかしくない?」
あなた「お菓子だけに、“おかし”いって?」
友達「……え?」
こんなとき、「変な空気にしたくないな……」と思いますよね? 実は、そんなときにオススメの方法があります。
「未来をおおげさに悲観する」とおもろくなる
怒られたり、失敗したり、スベッたりして変な空気になりそうなときには、「未来をおおげさに悲観する」という方法が使えます。たとえば、こんな感じです。
【ケース①の場合】
上司「今日遅刻したやろ! 後で会議室こい!」
あなた「……はい、わかりました」
(上司どこかへ行く)
同僚「大丈夫?」
あなた「みんな……今までありがとうな(悲しそうに)」
同僚「(笑)」
【ケース②の場合】
友達「このお菓子、なんか味おかしくない?」
あなた「お菓子だけに、“おかし”いって?」
友達「……え?」
あなた「ああ…また友達一人失ったわ」
友達「(笑)」
こんなことを言われたらクスッとしてしまいますよね。怒られたり、失敗したり、スベッたりしたときは、こうして大げさに悲観することで、その状況を笑いに変えることができるのです。ケース1であれば「さ~て、会社の荷物まとめるか~」「みんな、また来世で会おうな」というのもいいでしょう。
僕自身、中学生の頃に好きな子にちょっかいをかけて、よくその子に睨まれていました。そのタイミングで「みんな、今日で俺の人生終わりみたいやわ。今までありがとう」と言うと、笑いが取れたことを思い出します。けっこう使える場面も多いので、ぜひ覚えておいてくださいね。
芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売から続々重版が決まっている初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。