「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が話題を集めている。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「トークで相手を引き込むコツ」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。今回は、その芝山氏にコミュ力を高めるコツを聞いてみた。
トークとは、相手を目的地に連れていくこと
プレゼンや商談、最近あった面白い体験談を話すときなど、仕事・プライベートを問わず、“トーク”をする場面は多くあります。
一方で、「トークで相手を話に引き込めない」と悩む人は少なくありません。
では、トークで相手を引き付けられる人、そうでない人の違いはどこにあるのか?
拙著『おもろい話し方』では、トークの三種の神器「擬音、比較、自分の気持ち」を話に取り入れることを紹介しました。それ以外にも、大切となるのが「聞き手にあわせてペースを落とすタイミングをつくる」ことです。
トークとは、「相手を目的地に連れていくこと」です。あなたが自分のペースで歩き続けたら、一緒に目的地に辿り着くことはできません。
周りがついてこられるよう、時に相手にあわせてペースを落としてあげることで聞き手を目的地に連れていけるのです。
聞き手のことを考えて、トークを組み立てよう
漫才でも、お客さんに理解してもらえるように、トークのペースを落とす場面がよくあります。たとえば、お客さんのほうを見て「聞きました?」「~ですよねぇ?」と共感や問いかけのセリフを入れたり、その漫才を理解するうえで大切な部分だけ時間をかけて丁寧にやり取りするなどです。
トークが上手い人は、「ここで聞き手の共感を取ったほうが、より話に入り込んでもらえそう」「このあたりで聞き手が理解しているかを確認したほうがよいな」「ここはしっかり説明しよう」というポイントまでを考えてトークを組み立てます。話の内容だけでなく、聞き手のこともしっかりと考えているのです。
漫才でも、仕事でも、プライベートでも、「内容がよいのに相手を引き込めない」という人は、ここに原因があるのかもしれません。ぜひ意識してみてください。
芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売から続々重版が決まっている初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。