メタバース(仮想空間)の中でなら、もっと簡単にできたことだろう。フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は9日朝、従業員宛て書簡で大規模な人員削減を発表した。全従業員の13%に当たる約1万1000人が解雇されることになる。大がかりに聞こえるが、実際これは大がかりだ。同社はその18年の歴史の中で大規模な人員削減を行ったことがなかった。その期間の大半を通じて、2桁成長と非常に高い営業利益率を享受していたからだ。そのため、高給とぜいたくな社員特典が当たり前のハイテク業界にあっても、毎年何千人もの働き手を引き付けることができていた。それでも、1万1000人という数字は、メタが今年採用した人数より4000人ほど少ない。同社では年初時点ですでにいくつかの問題が浮上していた。一つは、稼ぎ頭である広告事業の低迷だ。景気減速や、動画アプリ「ティックトック」との競争、フェイスブックが「シグナルロス」と呼ぶ米アップルによる変更などが打撃となった。仕様変更により、ターゲット広告の販売に必要なユーザーの行動追跡が難しくなった。メタが2月に発表した2021年10-12月期決算は、広告収入が前年同期比20%増と、それまでの8四半期の平均を10ポイント下回ったほか、1日当たりアクティブユーザー数が初めて減少に転じた。発表の翌日に同社の時価総額は4分の1余りが吹き飛んだ。
メタ大量解雇、遅きに失したザッカーバーグ氏
問題は従業員を採用し過ぎたことだけではない
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