10月28日、岸田文雄首相は、政府与党政策懇談会で「総合経済対策に盛り込まれた各施策を国民の皆様の手元にしっかり届け、生活を支えていることを実感していただくために、全力を尽くしてまいります」と述べ、その日の夕方、財政支出約39兆円という総合経済対策を発表した。その記者会見では、電気料金等に対する質問に対し「総額6兆円、1家族当たり4.5万円の支援を行います。こうした効果的な激変緩和措置を講ずることで、物価高から国民の皆さんの生活を守ります」と自信満々に答えている。しかし、物価高騰対策を見る限り「政府が生活を支えてくれる」「物価高から生活を守ってくれる」とは到底実感できない内容と言わざるを得ない。(消費者問題研究所代表 垣田達哉)
電気料金の支援は
来春値上げの肩代わり
総合経済対策によって「物価高から生活を守ってくれる」と実感できない典型的なものが電気料金だ。岸田首相の発表から4日後の11月1日、東京電力が2012年以来の料金の値上げを検討しているというニュースが飛び込んできた。来年春頃からというだけで、いつからいくら値上げするのかはわからないが、このニュースを聞いた時「物価高から生活を守るといいながら、要するに東京電力がこれから値上げする分を補助するだけじゃないか」と気が付いた人も多いのではないだろうか。
確かに、首相官邸が公開している資料(新たな経済対策が目指すもの)では、電気料金について「来春の値上がり分を肩代わり」と小さく記載されている。岸田首相も、記者会見では「エネルギー価格について、その上昇分を直接目に見える形で抑制する」と述べているが、この上昇分を今年すでに行われた値上げ分のことだと思っていた人は多いのではないだろうか。