写真:岸田文雄首相首相官邸で記者団の取材に応じる岸田文雄首相 Photo:JIJI

「参議院選挙で自民党が勝利すれば増税が待っている」――。筆者が5月末の記事で書いたことが現実のものとなりつつある。消費税率のさらなる引き上げに、所得税や法人税のアップといった話が岸田政権や与党幹部から噴出している。さらに、知らぬ間に家計負担が増加しかねない「ステルス負担増」の話も浮上している。岸田政権が進めている仰天プランを追う。(イトモス研究所所長 小倉健一)

岸田首相は消費税率の引き上げを
「10年は考えていない」はずが…

 政府の税制調査会で消費税増税議論が飛び出したことが波紋を広げている。岸田文雄首相は物価高騰対策として電気代やガス代の支援策を柱とする総合経済対策を決定した。ところが、一時的な家計負担の軽減策と同時に全ての家計に恒久的な負担増を強いる増税策をもくろんでいることが明らかになったからだ。

 消費税以外の税も増税策が検討されており、物価上昇や円安の影響に伴って国民生活がダメージを受ける中で、さらに負担が増大していくのは避けられそうにない。

 やはり「増税地獄」なのか――。筆者はダイヤモンド・オンラインで5月31日に配信した『財務省が狙う「参院選後の増税」、既定路線になりつつある“標的”を検証』において、今夏の参議院選挙で自民党が勝利した後の増税が既定路線になっているとの記事を執筆した。

 参院選が終われば岸田首相が衆議院を解散しない限り、3年間は大きな国政選挙がない「黄金の3年」を獲得する。その結果、財務省を中心に「財政再建派」と呼ばれる勢力が長期政権をにらんで動き出し、岸田首相の在任中に増税議論を活発化させることが目に見えていたからだ。

 ただ、岸田首相は昨秋の自民党総裁選挙で消費税に関して「10年程度は上げることを考えていない」と語っている。「財政再建の旗は降ろしてはならない」としつつも、「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」と明言した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う歳出拡大が生じているとはいえ、さすがに自ら「増税プラン」を掲げるのははばかられる状況にあるのだろう。