「株式投資に興味があるけど、何から始めればいいの?」ーー。そんな株式投資ビギナーにおすすめしたいのが『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』(馬渕磨理子著、ダイヤモンド社)です。全国各地のセミナーで5年間にわたって個人投資家の方々にお伝えしてきた、的中率70%超の堅実な投資法を紹介。「黒字転換2倍株投資術」とは、四半期決算データで営業利益・経常利益が「赤字」から「黒字」に転換するタイミングの銘柄をいち早く見つけて買い、2倍になったら売るというシンプルな方法。「リスクを取りたくない、損切りの回数を減らしたい、でも利益は欲しい!」という堅実派の人にも始めやすいマイルドな投資法です。特別編として書下ろしの記事をお届けします。これから株式市場はどうなっていくのか? どんな有望銘柄があるのか?

2023年も円安は続くのか? 株式市場の注目銘柄は?Photo: Adobe Stock

来年、23年は「130円台」の円安水準の可能性

 11月2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決定し、12月の米国の利上げが何%になるのか?「0.75%」か「0.5%」か議論は分かれます。

 ただし、米国の政策金利は4%を超えて、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)と言われる「4.6%~5%」の水準まで近づいています。

 このタイミングで、興味深いデータがニッセイ基礎研究所から公開されました。

 日銀のマイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)など、各政策でどの程度、金利を抑えているかを試算し、10年物国債利回りの「理論値」を出したところ、9月末時点で1.5%台という内容です。

 つまり、現在、日銀は10年物国債利回りを0.25%より上昇しないように、買入れを続けています(指し値オペを実施)。これが、日米の金利差拡大に繋がり円安になっているわけですが、もし、指し値オペを含めて、イールドカーブ・コントロールをしなければ、10年債の理論値は今より1.3%ほど高い1.5%まで上昇する試算になります。

引き続き「円安メリット」を受ける企業が注目

 日本の10年物国債の金利が1.5%に上昇した場合、どれくらいの円高水準になるかの試算では、約11~13円の円高となり、132~135円程度になることが予想されます。

 あくまでも、現状の試算であることには留意しておきますが、イールドカーブ・コントロールを辞めた場合でも、1ドル=130円台であれば、そこまでの円高になるわけではない。十分に円安です。

 つまり、日本が金融緩和策から転換したとしても、過度な円高になるわけではなさそうだということを考えれば、引き続き「円安メリット」を受ける企業が注目です。

経済再開銘柄には、要注目

 日本はいよいよ外国人旅行者の受け入れを本格的にスタートしています。本来であれば赤字に転落するハズのない優良企業が、コロナの影響で赤字になっています。

 しかし、その赤字の時期もそう長くはないでしょう。優良企業が次々と黒字浮上に向かって進んでいます

 ANAホールディングス<9202>は、10月31日に発表した中間決算で、純損益が195億円の黒字(前年同期は988億円の赤字)に浮上しました。7~9月の国内線旅客数は、コロナ前の74%の水準に回復し、国際線は日本からの出張需要増なども取り込み35%まで持ち直しています。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高1兆7000億円(従来予想1兆6600億円)、純利益400億円(同210億円)を見込んでいます。まさに、業績回復の過渡期であり、株価もコロナ前水準にまだ戻していないことから、引き続き注目企業です。

 JR東日本<9020>は、観光スポットの多い首都圏が事業エリアで、リオープンの本命の企業です。10月31日の決算発表では、23年3月期第2四半期累計の連結経常利益は395億円の黒字(前年同期は1362億円の赤字)に浮上しました。

 今後は、鉄道駅バリアフリー料金制度による運賃改定やコスト削減効果が表れる見込みです。

 引き続き、「黒字転換」企業に要注目です。

2023年も円安は続くのか? 株式市場の注目銘柄は?馬渕磨理子(Mabuchi Mariko)
経済アナリスト、認定テクニカルアナリスト フィスコ金融・経済シナリオ分析会議 研究員 日本クラウドキャピタル マーケティング・未上場マーケットアナリスト フジテレビ系列LiveNews αレギュラーコメンテーター 滋賀県出身。同志社大学法学部卒業、京都大学大学院公共政策大学院卒業、公共政策修士。2013年関西の某医療法人に入社後、資産運用トレーダー業務を始める。独力で財務・経営分析力を磨いた結果、資産を3倍にする。2015年独立系金融情報配信会社FISCOのアナリスに転身。上場企業の経営者を中心にインタビューし、個別銘柄分析や日本・韓国・米国経済等の市況分析に従事。入社当時、アナリストだった上司より「堅実な銘柄選定法」として「黒字転換2倍株」のノウハウを受け継ぐ。2017年からは日本クラウドキャピタルにも籍を置き、日本初の未上場マーケットアナリスト兼マーケティング担当として活動。雑誌・Webなど連載多数。「PRESIDENT」本誌にも多数記事を掲載。「プレジデントオンライン」の執筆記事は、2020年の半年間で累計6000万PVを超え、「日本一バズるアナリスト」ともいわれる。2020年11月ラジオ日経にて「馬渕磨理子の5分で教えて!ベンチャー社長」がスタート。初の著書『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』をダイヤモンド社から2021年6月16日に上梓。