iPhone生産工場から工員が集団大脱走

 河南省鄭州市では先月、20万人余りを雇用してiPhoneの生産を請け負っている工場内で感染事例が発生した。作業に出てくる同僚が日に日に減っていくのを目のあたりにした工員たちの間で恐慌が巻き起こり、手持ちの荷物だけをまとめて工場から脱出し、徒歩で数百キロ先の故郷を目指すという事態に発展した。

 鄭州市全体がコロナ措置でロックダウンされていたため、彼らは公共交通機関を使うことができなかった。そのため工場からあふれ出た大量の人たちは農地を横切り、高速道路の脇を歩き続けるという異様な姿がメディアでも大きく取り上げられた。だが鄭州市としては、河南省の輸出額の80%を握るこの工場を罰することもできず、記者会見を開いた鄭州市の衛生担当局は善処を約束するしかできなかった。だが、その会見で担当者の1人が、「コロナ対策でクタクタ。娘の成人のお祝いにも出られなかった」と声を詰まらせたことが、これまた大非難を巻き起こした。

 この記者会見ではさらに、出席した感染症専門家が「BMWを運転するウイルスを、我々はトラクターで追いかけている状態だ」と述べて、「我々のスピードは、まったくウイルスに追いつけず、感染制御が難しい」と、「コロナゼロ化」政策への弱気ともとれる発言をしていたことも話題になった。