ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
エクアドルってどんな国?
エクアドルは、南アメリカ大陸北部の西岸、赤道直下に位置する国で、国名はスペイン語の「赤道」に由来します。コロンビア、ペルーと国境を接します。
国の中央部を走るアンデス山脈に、ほぼ赤道直下の首都キトがあります。標高が2800mで首都としては世界で2番目に高いため、年平均気温は14℃程度と温和でしのぎやすい気候です。
エクアドルは本州と九州を合わせたほどの広さですが、山岳地帯、海岸地帯、熱帯雨林地帯、ダーウィンが進化論の発想を得た固有種の多いガラパゴス諸島の4つの地域に分けられ、多様な自然と産業があります。こうした自然の中で米や果樹の栽培、畜産が行われ、バナナやコーヒー豆、カカオ豆が主要な農産物となっています。石油、エビも輸出品としても重要です。
政治や経済が不安定な状況が続く中、2000年に入り、通貨を全面的にドルに移行しました。しかし、原油安やドル安による財政悪化を背景に、アメリカとの自由貿易協定(FTA)交渉を打ち切り、ベネズエラなどの左派政権との関係を強めました。
2017年に左派的な外交政策から大きく方向転換して、アメリカとの関係改善を図りました。OECD(経済協力開発機構)への加盟意思を表明し、中南米諸国との関係を重視する一方で、南米の統合を目指すUNASUR(南米諸国連合)から脱退し、自由主義的政策を推進しています。
エクアドル共和国
面積:28.4万km2 首都:キト
人口:1709.3万 通貨:米ドル
言語:スペイン語(公用語)、先住民の言語(ケチュア語、シュアル語など)
宗教:カトリック74%、福音派10.4%
隣接:コロンビア、ペルー
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)