ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
コスタリカってどんな国?
コスタリカは中米に位置し、北はニカラグア、南東はパナマと国境を接する国です。
コスタリカという国名は、スペイン語で富める海岸という意味です。その名の通り、豊かな生態系を有する国として有名です。
森には『火の鳥』のモデルといわれるケツァールなど美しい鳥が生息し、海岸はウミガメの世界的な生息地です。
世界遺産のココ島は映画『ジュラシック・パーク』の舞台になりました。
このような豊かな自然の下で、平和な国づくりが続いてきました。中米では最も長い民主主義の伝統と経済的安定から、中米の楽園と呼ばれています。
軍を持たない国
特筆すべきは、1949年に制定された憲法で、常備軍を廃止したことです。それ以降、近隣諸国でしばしば発生する軍事クーデターは経験せず、民主的な選挙で政権の交代が行われています。
常備軍を持たない国ですが、首都サンホセの郊外には国連平和大学がおかれています。平和を目的とする国際機関が安全を守っているのかもしれません。
コスタリカ方式の由来
日本でコスタリカ方式といえば、同じ政党の地盤がかぶる2人の候補者が、衆院選のたびに小選挙区と比例代表を交互に出馬する候補者調整の手法です。
コスタリカでは、政治の腐敗を防ぐ目的で、大統領や国会議員の連続再選が禁止されているため、「交互に立候補する」ことがありますが、日本の「コスタリカ方式」とは目的も運用方法も異なります。
コスタリカ共和国
面積:5.1万km2 首都:サンホセ
人口:515.1万 通貨:コロン
言語:スペイン(公用語)
宗教:カトリック71.8%、福音派とペンテコステ派12.3%
隣接:ニカラグア、パナマ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)