ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

「ガンビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ガンビアってどんな国?

 ガンビはアフリカ大陸西部に位置し、東西約300km(東京から直線距離で名古屋くらい)、南北50km弱のたいへん細長い国で、ガンビア川河口以外はセネガルに囲まれています。この形は植民地分割競争の象徴です。

 最高標高が73mと平坦、ガンビア川の流れは緩やかで、輸送に便利です。15世紀半ばにポルトガル人がガンビア川を通して内陸部から奴隷や金などを運びました。後にイギリスとフランスが進出。両国が争った結果、1783年にイギリスの植民地となりました。

 イギリスはガンビア川河口に、今日の首都バンジュールに発展する町を建設しました。フランス領に包囲された小国ですが、ガンビアの領有はイギリスにたいへん大きな利益をもたらしました。

 奴隷貿易の中心地となったのがガンビア川下流にあるクンタ・キンテ島です。島名は、アメリカに奴隷として売られたクンタ・キンテの物語『ルーツ』にちなんで改名されました。『ルーツ』はアメリカでテレビドラマにもなり、記録的な高視聴率を獲得しました。

 今日、クンタ・キンテの故郷を訪ねたり、ガンビア川でボートサファリをしたりすることが欧米の観光客に人気で、観光業はガンビアの主要な収入源となっています。主産業は農業で、落花生や米などを生産しています。

「ガンビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会アフリカ西部

ガンビア共和国

面積:1.1万km2 首都:バンジュール
人口:222.1万 通貨:ダラシ
言語:英語(公用語)、マンディカ語などの民族語
宗教:イスラーム96.4%
隣接:セネガル

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)