研究のイメージ写真写真はイメージです Photo:PIXTA

 人間のクリトリス(陰核)の組織の一部を用いて神経線維の数を測定したところ、これまで推定されていた数よりも約20%多い、1万本以上の神経線維が存在していたとする研究結果を、米オレゴン健康科学大学トランスジェンダー・ヘルス・プログラムの形成外科医であるBlair Peters氏が報告した。この研究の詳細は、北米性機能学会と国際性機能学会が合同で開催した年次学術集会(SMSNA/ISSM 2022、10月27~30日、米マイアミ)で発表された。

 クリトリスの役割は性的興奮に特化されている。クリトリスの外側には極めて敏感な陰核亀頭と呼ばれる部分があるが、クリトリスの大部分は体内にある。その内側で快感を支配する主な神経が陰核背神経である。

 Peters氏らは、7人のトランスマスキュリン(出生時の性別は女性だが、自認する性別は女性ではない)の人たちが性別適合手術を受ける際に、片側の陰核背神経の組織の一部を採取した。通常、陰茎形成術では同組織が少しだけ切除されるという。同氏らは、採取した組織を染色し、顕微鏡で1,000倍に拡大した上で、画像解析ソフトを使って神経線維の数を測定した。その結果、組織検体の陰核背神経に含まれる神経線維数は片側だけで平均5,140本に上り、両側を合計すると平均1万281本もの神経線維が存在していると推定された。