先週ここを訪れたときに分かったことだが、台湾の国立中山大学のほとんどの学生にとって、現在最も差し迫った問題は、マカクザルが時折森から降りてきて、ビーチの近くをぶらぶら歩く不注意な人々からサンドイッチやおやつを奪うことだ。しかし、この平和な海岸沿いの一帯は、中国人民解放軍が攻めてきた場合に侵攻部隊が上陸する可能性が最も高い地域の一つだ。また、徴兵制度の再導入をめぐる議論により、学生たちの関心は今後のリスクに集まっている。だが懸念を強めるのは学生だけではない。香港における自由の消滅、中国本土での習近平国家主席による絶対的権力の掌握、ロシアのウラジミール・プーチン大統領がウクライナで始めた戦争の恐怖が重なり合い、この島にはかつてないほど複雑な心理や雰囲気が生まれている。
【オピニオン】台湾で続く不安定な現状
ほとんどの市民は中国への屈服も戦争も望まず
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