成長や賃金引き上げのネック
「生産性の低さ」の真実
長く停滞が続く日本経済活性化のためには、生産性や賃金の引き上げが喫緊の課題であることは多くの識者の共通の認識だろう。賃金が上昇しなければ需要は生まれず、日本経済も成長しない。
政府は経済総合対策の中で「構造的賃上げ」を打ち出した。11月21日に国会に提出された対策実施のための今年度第2次補正予算案には、賃上げをした企業や、成長分野などに新しい仕事を得るためのリスキリング(学び直し)を従業員に促した企業への助成金拡充などが盛り込まれる見通しだ。
しかしながらそんな対策で「構造的な賃上げ」が実現できるのだろうか。
日本銀行の黒田東彦総裁は「賃金上昇を伴う物価上昇を実現するため」として、主要国の中央銀行がインフレ抑制で金融引き締めにかじを切る中で、一人日本だけが金融緩和政策の継続を明言している。
だが現在の異次元緩和策を取り続けることでなぜ賃金の上昇を伴う物価上昇が達成できるのか、そのメカニズムについての説得的な説明もない。
そもそもこの9年半、異次元緩和をやり続けても物価は上がらず、賃金も上がっていない。経済成長も実現できず、残ったのは巨額の財政赤字だけだ。